みなし解散した会社名義の土地を買う方法を弁護士が解説

みなし解散した会社名義の土地を買う方法を弁護士が解説
この記事を書いた弁護士は…
瀧澤 輝(Takizawa Hikaru)

たきざわ法律事務所のHPをご覧いただきありがとうございます。弁護士の瀧澤輝(たきざわひかる)と申します。
私は、2012年に弁護士登録後、東京丸の内にある大手法律事務所にて、一般民事事件、親族、相続事件から企業法務(ベンチャー、中小企業、上場企業まで)まで幅広い内容の業務に従事し、より自分らしく、型に縛られない法的サービスを実現し社会に貢献したいとの思いから、2017年10月よりたきざわ法律事務所を開設いたしました。

「買いたい土地の登記簿を取ったら、所有者欄は株式会社。会社の登記を調べると、何年も前に『みなし解散』の記載があり、代表者もすでに亡くなっていた」。

土地を探している不動産業者の方から、ときどきいただくご相談です。

会社名義の土地は、会社の代表者と話をして売買契約を結ぶことが一般的です。ところが、その会社が解散していて、代表者も亡くなっていると、誰と話をすればよいのかがわかりません。ここで「この土地はもう買えない」と諦めてしまう方が少なくありません。

しかし、会社は解散しても、清算が終わるまでは法人として存在しています。会社のために意思表示をする人を立てることができれば、土地を買うことは可能です。

この記事では、登記名義人が解散した会社になっている土地を買いたい事業者の方に向けて、誰が会社を代表して土地を売れるのか、購入希望者はどこまで自分で動けるのか、そしてどの手続きが早く安く済むのかについて解説します。

先に結論をお伝えすると、ポイントは次の3つです。

▼この記事のポイント

  • 会社は解散しても、清算が終わるまでは法人として存在しています。意思表示をする人を立てられれば、土地は売買できます。
  • 土地を売却するのは原則として清算人で、解散当時の取締役が自動的に清算人になります。取締役が全員亡くなっていれば、裁判所に清算人を選任してもらう手続きがあります。
  • 取締役やその相続人が1人でもわかれば清算人の方が早く安く済み、誰もわからなければ所有者不明土地管理制度を検討します(私見です)。

なお、会社の清算に関する手続きは、不動産の案件の中でもあまり頻繁に扱う分野ではありません。この記事では、ご相談を受けたときに私がどう考え、どう進めるかを、一般的な流れとしてお話しします。

目次

登記名義人が会社の土地で実際に起きていること

「土地の登記名義人が会社で、調べたら解散していた」というご相談は、土地探しをしている不動産業者の方からいただくことがほとんどです。ちょうどよい土地を見つけて登記簿を取ったところ、所有者である法人がすでに解散していたというケースです。

「みなし解散」とは、簡単に言えば、長年にわたって営業の実態がなく、登記も変更されていない会社について、法務局(法務大臣)が解散したものとして扱う制度です。会社の登記簿には「みなし解散」の記載が残ります。

ここで困るのは、会社は法人格として存在しているのに、会社のために意思表示をする人がどこにもいないことです。

「代表取締役は亡くなっている」「他の取締役もいない、あるいはわからない」「株主が誰かもわからない」

そうなると、「会社から土地を買いたい」と思っても、誰と話をすればよいのかがわかりません。

【想定例】みなし解散した会社名義の空き地を買いたい

ここでは、よくあるご相談の形を想定してお話しします。

土地仕入れをしている不動産業者の方が、郊外に手頃な空き地を見つけました。登記簿上の所有者は「株式会社◯◯商事」です。

会社の登記(履歴事項全部証明書・閉鎖事項証明書)を取ってみると、十数年前にみなし解散の記載があります。当時の代表取締役の住所を調べると、すでに亡くなっていることがわかりました。会社の本店所在地に行ってみても、別の建物が建っていて、会社の痕跡はありません。

この段階でご相談に来られる方は、ご自身で本店所在地を訪ねたり、代表者の親族を探そうとしたりして、行き詰まっていることが多いです。ここから先は、会社法と不動産の両方の手続きを組み合わせて進めることになります。

解散した会社から土地を買う方法

ここでは、誰が会社を代表して土地を売ることができるのか、会社の状況ごとに整理します。

みなし解散しても清算が終わるまで会社は存在している

まず押さえておきたいのは、みなし解散した会社であっても、清算が終わるまでは法人として存在しているということです。

「会社がなくなったのだから、この土地は誰のものでもない」というわけではありません。会社の財産である土地は、会社のために動ける人を立てることで、売却することができます。

みなし解散から3年以内なら会社を継続して取締役を選べる

みなし解散した会社は、必ず清算しなければならないわけではありません。みなし解散から3年以内であれば、株主総会の決議で会社を継続させることができます。

たとえば、取締役が1人、株主も同じ1人という「一人会社」で、その方が亡くなった場合を考えてみます。

亡くなった方が持っていた株式は、相続人の共有(準共有)になります。相続人の中で株主としての権利を行使する人を決め、その人が臨時株主総会を開いて新しい取締役を選任するという流れで、会社として意思表示ができる状態を作ることができます。

ただし、取締役会があるかどうか、取締役が複数いるかどうかなど、会社の状況によって手続きは分岐します。ここは個別に検討が必要な部分です。

3年を過ぎていれば清算人が土地を売却する

みなし解散から3年を過ぎている場合は、会社を継続させることはできず、清算の手続きの中で土地を売却することになります。土地を売却するのは清算人です。

では、誰が清算人になるのでしょうか?

原則として、解散当時の取締役が自動的に清算人になります。解散当時の取締役が存命であれば、その方に清算人として動いてもらい、清算人から土地を買うことができます。

取締役が全員死亡している場合は裁判所が清算人を選任する

解散当時の取締役が全員亡くなっている場合は、清算人になる人がいません。

この場合は、利害関係人の申立てによって、裁判所に清算人(代表清算人)を選任してもらう手続きをとります。本来は代表取締役が清算人になるはずだったところを、裁判所に選んでもらうというイメージです。

会社の登記簿と戸籍から関係者をたどる

取締役や株主の相続人を探す出発点は、会社の登記簿です。法人の登記には代表者の住所が記載されています。

その住所で本籍地の記載付きの住民票を取り、本籍地の戸籍をたどれば、代表者の相続人を調べることができます。弁護士であれば、職務上請求でこれらの書類を取得できます。

購入希望者は自分で裁判所に申立てができるのか

ここで気をつけたいのが、「買いたい」というだけの人が、裁判所への申立てをできるのかという点です。申立ての種類によって、答えが変わります。

清算人選任の申立ては購入希望者には原則できない

清算人選任の申立てについては、原則として、購入希望者は利害関係人にはならないと考えています。

たとえば、

  • 解散前の取締役との間でこの土地の売買契約をすでに締結していた
  • 売買の予約をしていた
  • 将来売買する旨の合意をしていた

など、土地に対する権利を直接基礎づけるものがあれば利害関係人と言えます。そうでなければ難しいというのが原則です。

所有者不明土地管理人の申立ては具体的な計画があればできる場合がある

一方、所有者不明土地管理人の選任申立ては、会社の本店に実体がなく、代表者の所在もわからないといった「所有者の所在を知ることができない」状態であれば、法人名義の土地でも対象になります。

この場合の利害関係人の考え方は、所有者が個人の場合と同じです。その土地を購入して利用する具体的な計画があれば、隣地所有者でなくても申立てができる場合があります(詳しくは別記事「【実例】登記簿の住所が古く所有者と連絡が取れない土地を買う方法を弁護士が解説」をご覧ください)。

実務上はまず取締役や相続人を探すことから始める

そのため、実務上はまず取締役やその相続人を探して清算人として動いてもらえないかを検討し、誰も見つからない場合に所有者不明土地管理制度を使うという順番で考えることが多いです。

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清算人選任と所有者不明土地管理制度のどちらが早く安いか

あくまで一般論、そして私の個人的な意見ですが、清算人選任の方が早くて安いことが多いと感じています。取り得るルートは3つです。

ルート 向いているケース ポイント
①解散当時の取締役や相続人に清算人になってもらう ・取締役や株主の相続人が1人でもわかる ・裁判所に納める予納金がかからない

・顔の見える相手なので売却の話を進めやすい

②裁判所に清算人を選任してもらう ・取締役が全員亡くなっている

・相続人など申立てができる利害関係人がいる

・利害関係人の申立てが必要

・購入希望者は原則として申立人になれない

③所有者不明土地管理人を選任してもらう ・取締役も相続人も全くわからない ・具体的な購入計画があれば購入希望者も申立てできる場合がある

・予納金が必要だが売却で管理が終われば余りは返還される

①解散当時の取締役や相続人に清算人になってもらう

取締役やその相続人が1名でもわかるのであれば、その方に清算人になってもらって進めるのが最も早く、予納金もかかりません。

知っている相手であれば、こちらに売却してもらいやすいという面もあります。

②裁判所に清算人を選任してもらう

取締役が全員亡くなっている場合は、相続人などの利害関係人が申し立てて、裁判所に清算人を選任してもらいます。

購入希望者は原則として申立人になれないため、申立てをしてくれる関係者を探す必要があります。

③所有者不明土地管理人を選任してもらう

取締役も相続人もまったくわからないという場合は、所有者不明土地管理制度を使う方がよいでしょう。このルートであれば、具体的な購入計画があることを前提に、購入希望者自身が申立てをできる場合があります。

購入希望者が利害関係人として認められるかどうかは、次の記事で解説しています。

なお、会社が固定資産税を滞納している場合には、滞納処分として土地が差し押さえられている、あるいは今後差し押さえられる可能性があります。登記簿に差押えの記載がないか、買う前に必ず確認してください。

みなし解散の記載を見つけた段階で弁護士に相談する

会社の登記簿を取って「みなし解散」の記載を見つけた段階で、ご相談いただくのが最も効率的です。

代表者の親族や元役員をご自身で探して接触する前に、誰が清算人になれるのか、どのルートで進めるのかを整理してから動いた方が、結果的に早く進みます。

ご相談の際に用意していただきたいのは、次の資料です。

  • 土地の登記事項証明書(登記簿謄本)、公図、地図など物件の状況がわかる資料
  • 会社の履歴事項全部証明書・閉鎖事項証明書
  • その土地をどう使いたいのか(建物の用途や規模、資金計画など)を整理したメモ

利用計画を整理しておいていただけると、所有者不明土地管理人の申立ての可否まで含めてご説明できます。

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解散した会社名義の土地の購入はたきざわ法律事務所にご相談ください

解散した会社名義の土地は、会社法の手続きと不動産の手続きが絡み合う案件です。

当事務所がお役に立てるのは次の3点です。

  • 清算人選任と所有者不明土地管理制度のどちらで進めるかの判断
  • 会社と関係者の調査から売買契約まで一貫して対応
  • 裁判所や清算人とのスピーディーなやりとり

清算人選任と所有者不明土地管理制度のどちらで進めるかの判断

解散した会社名義の土地は、会社の状況によって使える手続きが変わります。継続できる時期か、取締役や相続人がわかるかという会社側の事情と、土地の利用計画の両方を見なければ、最短のルートは決まりません。

当事務所は不動産分野に特化しており、会社法の手続きと不動産の手続きの両方を踏まえて、最も負担の少ないルートをご提案します。

会社と関係者の調査から売買契約まで一貫して対応

会社の登記簿の読み解き、職務上請求による代表者・相続人の調査、裁判所への申立て、清算人や管理人との売買交渉まで、窓口を分けずに対応します。

調査の結果によって進め方が変わる案件ですので、調査と申立てを同じ弁護士が担当することで、手戻りを防ぐことができます。

裁判所や清算人とのスピーディーなやりとり

清算人や管理人を通じて土地を買うまでには、裁判所、清算人、相続人など、やりとりをする相手が多くなります。どこかで連絡が滞ると、その分だけ全体の期間が延びてしまいます。

当事務所は少人数の事務所ですので、弁護士が直接やりとりを行い、進捗をこまめにご報告しながら進めます。

最適解を提案します

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解散した会社名義の土地についてよくある質問

最後に、解散した会社名義の土地について、ご相談の際によくいただく質問にお答えします。

みなし解散した会社の土地はもう誰も売れないのですか?

そんなことはありません。みなし解散から3年を過ぎている場合でも、清算人が土地を売却できます。

清算人は解散当時の取締役が自動的になり、取締役が全員亡くなっている場合は、利害関係人の申立てで裁判所に選任してもらいます。

会社の代表者が亡くなっている場合は誰と売買契約を結ぶのですか?

清算人です。

本来は代表取締役が清算人になるはずだったところ、亡くなっている場合は、利害関係人の申立てによって裁判所に清算人を選任してもらい、その清算人と売買契約を結びます。

購入希望者でも清算人選任や管理人選任の申立てはできますか?

清算人選任については、原則として購入希望者は利害関係人になりません。すでに売買契約や売買の予約を結んでいたなど、権利を直接基礎づける事情があれば別です。

所有者不明土地管理人の選任は、土地の購入・利用について具体的な計画が認められれば、申立てができる場合があります。

清算人選任と所有者不明土地管理制度のどちらが早く安く済みますか?

一般論としては、清算人選任の方が早くて安いと考えています。取締役やその相続人が1名でもわかれば、その方に清算人になってもらう方が早く、予納金もかかりません。

誰もわからない場合は、所有者不明土地管理制度の方がよいでしょう。あくまで私の個人的な意見です。

会社が固定資産税を滞納している場合は土地はどうなりますか?

滞納処分として土地が差し押さえられる可能性があります。

登記簿に差押えの登記がないかを確認し、ある場合は、その処理を含めて進め方を検討する必要があります。

最適解を提案します

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まとめ

登記名義人の会社がみなし解散していても、土地を買う道は残っています。この記事でお話しした内容を振り返ります。

  • 会社は清算が終わるまで法人として存在しており、会社のために意思表示をする人を立てれば土地は売買できる
  • みなし解散から3年以内なら会社を継続して取締役を選ぶ方法があり、3年を過ぎていれば清算人が土地を売却する
  • 清算人は解散当時の取締役が自動的になり、全員亡くなっていれば利害関係人の申立てで裁判所が選任する
  • 購入希望者は清算人選任の申立人には原則なれないが、所有者不明土地管理人の申立ては具体的な計画があればできる場合がある
  • 取締役や相続人が1人でもわかれば清算人、誰もわからなければ所有者不明土地管理制度(私見)

会社の清算が絡む案件は、会社の状況によって手続きが細かく分岐します。

ご自身で代表者の親族や元役員を探して接触する前に、誰が清算人になれるのか、どのルートが最短なのかを整理することが、結果的に一番の近道です。

会社の登記簿で「みなし解散」の記載を見つけたら、物件の資料と会社の登記簿を持ってご相談ください。解散した会社名義の土地の購入でお困りの方は、たきざわ法律事務所にご相談ください。

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瀧澤 輝(Takizawa Hikaru)

たきざわ法律事務所のHPをご覧いただきありがとうございます。弁護士の瀧澤輝(たきざわひかる)と申します。
私は、2012年に弁護士登録後、東京丸の内にある大手法律事務所にて、一般民事事件、親族、相続事件から企業法務(ベンチャー、中小企業、上場企業まで)まで幅広い内容の業務に従事し、より自分らしく、型に縛られない法的サービスを実現し社会に貢献したいとの思いから、2017年10月よりたきざわ法律事務所を開設いたしました。

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